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絵を描いて、それが思いのほか上手くいった時、
俺はその絵を何時間でも眺めて、ずっと幸せな気分に浸っている。
まさかこんなに満足いく風に描けるなんて…と思って。

そしてしばらく時間が経って、今度は次絵を描くのが怖くなる。
また同じように良い絵が描けなかったらどうしよう、と。
そして不安に取り付かれて、プレッシャーも強くなっていた。

でも、自分にとって好きな絵、良い絵を描けたのは、自分がその表現した対象を
好きだという気持ち（情熱）があったからだと思った。
だからこそ自分が好きであるように表現するし、その気持ちがあるからそれを可能とさせる。
そしてその好きだという気持ちがあるからこそ、不安にもなる。

この気持ちは恋人や宝物を失うのを恐れる事と似ていると思う。

でも、一つ決定的な違いがあって、
自分が何かの対象を「好きだ」という気持ちは誰かに奪われたり、
勝手に去って行ったりする事は決してない。
自分が好きである限りは好きなままだ。

万一好みなどが変わって、心変わりをする事はあるかもしれない。
でも、その時は既に別の対象を好きになっているかもしれないし、
もう好きでないのならもうそれは自分に不要になったという事で、不安になる事はない。

繰り返しになるけど、また描けるか不安になるような良い絵が描けるのは、
まさに自分がそういった自らが表現した要素、雰囲気、対象が好きだからだ。
だから、指先が、心が、そういったものを表現しようとする。その為の努力だってする。
そして不安になるのは、その「好き」という気持ちがあるからこそだ。
他人の絵を見て愕然としたり、嫉妬する事も一緒で、
絵が、そして誰かが描いたようなその対象が
好きで好きで仕方ないから、ショックを受けて、嫉妬もする。
絵がどうでもよくなってしまえば、もう不安も、嫉妬も感じなくなる。
つまり、不安になるたびに好きである気持ちを確認できている事になる。
不安が強ければ強いほど、それだけ絵が、好きなものが自分にとって大きくて大好きなものという事だ。
つまり、不安を感じれば感じるほど、今自分が絵に向かい合っている事は、
絵の世界にいる事は、紛れもなく正しい道という事なんだと思う。
だから、不安になる必要もないし、何も恐れる事はないんだと思う。

描く毎の運もあるかもしれない。
けど、それはただある程度のふり幅を持たせるだけのもので、
もっと遥かに強い影響の、根本的なものが、絵を描く技術と、何より好きという気持ちだと思う。

絵に没頭する状態を愛する、という事もあるだろうから
情熱の不足に対する恐れはあるかもしれない。
けど、もし情熱が減ったとしても絵はそんな人生の途中でそうそうやめたりするものには自分は思えない。
それこそ、生命力が尽きるまで、描き続けるんじゃないだろうか。
だから、ここまで悩んでまでもやってきたんじゃないだろうか。
少なくとも、俺はあまりやる気がなくなったという理由で一度絵をやめてみて、
半身裂かれるような思いを味わったから、もう死ぬまで絵をやめるつもりはない。

好きなのであれば、好きだから不安なのであれば、
きっと何も恐れることはないと思う。
描けなくなってしまう事を恐れてしまうほど
「好き」な気持ちがあるのであれば、たとえ形を変えても
必ずまた好きな絵は描けるのだから。



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という内容です。
今はタブレットに紙を貼って、今日は時間かけたのにまともな絵が一枚も描けなかったけど、
もう怖くはないです。
かといって当然ながら、絵が好きじゃないという事ではないけど（笑）。

なんか、大丈夫だなって思えたんです。
たとえ描けなくても、もう怖くはないなって。
絵を見る事が、描く事が、やっぱり好きだから。

今からは、わりと気軽に楽しく絵が描けそうです。
上手く描けなくてイライラする事はしょっちゅうありそうだけど、
きっと、「怖く」はならないような気がします。

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